人間のお口の中には、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」と呼ばれる細菌が、300~500種類ほど住んでいます。普段は、どの細菌も悪さをすることなく、お口の中で静かに暮らしているのですが、生活習慣や食生活の乱れ、過度なストレスなどの影響を受けると、普段は大人しい悪玉菌と日和見菌が急激に増殖をしはじめ、細菌のバランスが崩れ、虫歯や歯周病を発症・悪化させたり、心臓病や生活習慣病などを引き起こしたりと、さまざまな悪さを働くようになります。
当院では、生活習慣病や国民病の原因となりうる虫歯や歯周病の発症・悪化を防ぐため、歯とお口の健康を守るための歯科診療「予防歯科」を積極的に行っております。
歯のクリーニング「PMTC」
PMTCとは「Professional Mechanical Tooth Cleaning」のことであり、日本語であらわすと「PMTC講習を修了した歯医者さん、もしくは歯科衛生士さんが歯をクリーニングするための専用の機械を使って、歯の表面を徹底的に掃除する」という意味になります。1971年、スウェーデン公立歯科医院のアクセルソン博士によって、提唱・システム化された虫歯・歯周病の予防管理を目的とするPMTCは、口腔ケアの先進地として知られる北欧やアメリカを中心に、世界各国で広く普及しています。
PMTCを行うことで、普段の歯みがきでは落としきることのできない歯と歯の狭い隙間、歯と歯茎の境目にある溝などに溜まった頑固な汚れを、隅々までキレイに落とすことができ、虫歯や歯周病の発症・悪化を防ぐことができます。また、食べ物や飲み物による歯の着色汚れも落とすことができるため、お口の健康を守りながら、白く美しい歯も手に入れることができます。
PMTCの流れ
①歯や歯茎の健康状態をチェックします
PMTCを始める前に、歯に付着した汚れの付き具合、歯茎の状態などを確認します。
お口の中の環境や健康状態は、患者さまごとに異なるため、PMTCを行う患者さまに合わせた道具や研磨粒子などを用意します。場合によっては、染め出しなどを行うことがあります。
②歯と歯の狭い隙間をクリーニングします
円錐形のゴムチップを装着した専用の機械と研磨剤を使って、歯ブラシでは届きにくい歯と歯の狭い隙間に付着した汚れを磨き落とします。同時に、歯茎のマッサージを期待することもできます。
③歯と歯茎の境目、歯の表面をクリーニングします
ゴム製のカップ状の専用器具を使い、汚れによってデコボコになってしまった歯の表面を磨きます。
磨く際に使う研磨剤は、粒子の粗いものから順番に使い、仕上げに粒子の細かいものを使って磨き上げます。
④研磨剤を洗い落とし、高濃度のフッ素を塗布します
歯の表面が滑らかになるまで磨いたら、研磨剤をキレイに洗い落とします。そのあと、知覚過敏や虫歯を予防するため、高濃度のフッ素を歯の表面に塗っていきます。
PMTCを行うメリット
- 歯周疾患の症状改善と進行を防ぎ、歯茎を健康な状態に戻す
- プラークの再付着を防いで、虫歯の発生や進行を抑える
- 歯の再石灰化を促し、歯質を強化する
- 食事や飲み物によって着色してしまった歯を、光沢のある白くキレイな歯にする
- お口の中がスッキリと爽やかな状態になる
- 口臭が緩和する
ドクターより一言
お口の2大疾患と呼ばれる「虫歯」と「歯周病」は、自然治癒しないため、必ず歯科医院で治療を受ける必要があります。しかし、たとえ治療を行ったとしても、お口の状態を元の健康な状態に戻すことができないため、日常生活に不便さを感じてしまうことも多々あります。
当院では、来院された方々のお口の健康を守るため、予防歯科にも力を入れています。
虫歯や歯周病は、初期段階での治療や早期発見による発症前治療を行うことができれば、お口の状態を元の健康な状態にまで近づけることができ、日常生活にも支障をきたす心配がありません。
患者さまの健康状態やお口の環境などによって、予防歯科を行う頻度は異なりますが、1~2ヶ月に1回のペースで予防歯科を受診されるのがおすすめです。
予防歯科の種類
予防歯科には、歯科医院などで行う「プロフェッショナルケア (通称:プロケア)」と、歯医者さんや歯科衛生士さんの指導に基づき、患者さまご自身で行う「セルフケア」の2種類あります。
歯科医院で行う「プロケア」
プロケアとは、患者さまのお口の状態に合わせて、歯医者さんや歯科衛生士さんが行うプロフェッショナルな予防歯科のことです。おうちで行うセルフケアとは違い、豊富な知識と高度な技術によって、毎日の歯みがきでは落としきることができない細やかな部分に付着した汚れまでスッキリ落とし、虫歯や歯周病の発症・悪化を防ぐことができます。
- 歯や歯茎の状態を隅々までチェックする口腔内検査
- 虫歯や歯周病などの原因となる細菌数の計測
- 患者さまの歯並び、お口の環境や状態に合わせたセルフケア方法の指導
- 高濃度のフッ素を歯に塗布する虫歯予防
- 「スケーラー」と呼ばれる特殊な器具を使った歯石の除去
- シーラントを前歯や奥歯の溝に埋めて虫歯を防ぐ
- 専用の機器を使い、普段の歯みがきでは落としきることのできない頑固な汚れを取り除く
おうちで行う「セルフケア」
セルフケアとは、歯医者さんや歯科衛生士さんの指導に基づき、おうちで行う予防歯科のことです。
歯科医院で行うプロケアとは違い、特別な機械や器具などは使用せず、ドラッグストアなどで気軽に手に入る歯ブラシや歯磨き粉などを使って、お口をケアしていきます。
- 自分のお口にピッタリな歯ブラシを見つけ、正しい歯みがきを行う
- フッ素配合の歯みがき粉を使い、歯質を強化しながら歯みがきの効果を高める
- 歯と歯の狭い隙間など、歯ブラシが届きにくい部分の汚れを、デンタルフロスや歯間ブラシで落とす
- 歯みがき後、就寝前にデンタルリンスをして、虫歯や歯周病の原因となる細菌の繁殖を防ぐ
ドクターより一言
当院では、年齢や性別問わず、虫歯や歯周病の治療を行った患者さまに、予防歯科をご提案させていただいております。
虫歯や歯周病は、いくらしっかりと治療したとしても、詰め物や被せ物が取れてしまったり、歯みがきが不十分だったりしてしまうと、二次的な虫歯・歯周病が再発してしまう可能性があります。虫歯や歯周病の再発を防ぐためには、予防歯科がとても重要になります。
治療を行った歯や歯茎が再び病気にならないよう、当院ではPMTCをはじめ、スケーリングやルートプレーニングなどのプロケアも行っております。
これから予防歯科を始めようとお考えの方は、ぜひ当院までご相談ください。
予防歯科に関するお悩みやご相談は当院まで
虫歯や歯周病の発症・悪化を防ぐために行う予防歯科では、PMTCなど歯科医院で行われる「プロケア」も大切ですが、患者さま自身が行う「セルフケア」もたいへん重要になります。
当院では、これから予防歯科を始めようとお考えの方、なかなか予防歯科の効果が得られずにお困りの方から、たくさんのご相談をいただいております。ぜひ、この機会に当院まで足をお運びください。