これまで、歯科医院では、虫歯を治療する際、ただ治すことだけを目的としていました。
しかし、時代の流れと共に、年々「虫歯を治療するだけではなく、治療した歯をキレイに見せたい」と、お考えの患者さまが増えています。
そこで、当院では、自分の歯の色によく似ている白いプラスチック素材の詰め物「コンポジットレジン (CR)」を使い、虫歯治療を行っています。
コンポジットレジン治療(CR)
コンポジットレジン治療の「コンポジットレジン」とは、セラミック粒子と合成樹脂を「8:2」の割合で合わせた複合プラスチック素材のことであり、歯医者さんのあいだでは「CR」と呼ばれています。日本では、1978年からCRの保険導入が行われているのですが、耐久性や変色などの問題があり、あまり普及しませんでした。しかし、医学の進歩と共に、CRも飛躍的な進歩を遂げ、いまでは機能的と審美的を兼ね揃えた歯科材料として、注目を集めています。
コンポジットレジン治療の流れ
①古くなった詰め物を取り去ります
以前、虫歯の治療を行った際、詰め物をしたことのある方の場合、欠けた部分の隙間から細菌が侵入してしまい、虫歯が再発している可能性がありますので、古くなった詰め物を取り去ったあと、虫歯治療が行われます。
また、金属アレルギーをお持ちの患者さまの場合、金属の詰め物を取り外した後、メタルフリーのCRに置き換える処置を行いますので、金属アレルギーが心配な方は、遠慮なくご相談ください。
②虫歯を取り除きます
専用の器具を使い、健康な歯を傷付けることなく、虫歯をキレイに取り除いていきます。
虫歯の進行具合によっては、CRが使用できない場合があります。当院では、治療を始める前に患者さまの虫歯の状態を確認させていただいております。
③歯科用高性能接着剤、CRを削った部分に詰めて、特殊な光を当てます
歯科用高性能接着剤とCRを詰めた部分に、照射器から放たれる特殊な光を3~10秒ほど当てて、しっかりと固めます。以前は固まるまで時間がかかっていましたが、CRの進歩によって、照射時間が飛躍的に短縮されました。
④歯のかたちを整えて、かみ合わせをチェックします
余分なCRを取り除いて、元の自分の歯に近いかたちへと整えていきます。詰めたCRの高さが合わなかったり、当たりが強かったりしないか、細かくかみ合わせのチェックを行います。
CRを虫歯治療に用いるメリット・デメリット
メリット
- 精度が高いため、二次的な虫歯の再発を防ぐことができる
- 自分の歯の色に近い自然な仕上がりになる
- 健康な歯を削らずに治療するができる
- 治療する歯の本数にもよりますが、基本的には1日で治療が完結する
- 金属が一切使われていないので、金属アレルギーを起こす心配がない
- 欠けや変色が起こっても、安易に修正することができる
- 部分的な補修もできるので、歯のかたちをキレイに整えることができる
- 保険が適用されるため、インレーやクラウンよりも安く治療ができる
デメリット
- 金属やセラミックと比べ、強度が劣る
- 長期間使用し続けると、欠損しやすくなる
- 時間が経つにつれ、徐々に変色や摩耗していく
- 硬い食べ物は、できるだけ避ける
- 強度上、使用することができない場合がある
ドクターより一言
コンポジットレジン治療は、前歯の虫歯や奥歯の小さな虫歯などを治療した際、二次的な虫歯の再発を防ぐために用いられるプラスチック製の詰め物を行う歯科治療となります。
コンポジットレジン治療は、治療する歯の本数や虫歯の進行度合などによって異なりますが、治療が完了するまでにかかる時間は、平均30分ほどになります。
毎日お忙しい方、経済的な負担を減らしたい方、審美性の高い虫歯治療をご希望の方にピッタリな虫歯治療となりますが、定期的なメンテナンスを行う必要がありますので、通院可能なご自宅や職場から近い歯科医院で治療を行ってもらうことをおすすめします。
コンポジットレジン治療ができない主なケース
審美性の高い歯科治療として、注目を集めているコンポジットレジン治療ですが、治療を行う歯の位置や虫歯の進行度合などによって、コンポジットレジン治療ができないケースがあります。
- となりの歯を含む虫歯や欠けがみられる(隣接歯を含む奥歯の場合)
- CRを詰める面積が大きい
- 歯と歯の境目に大きく広がった虫歯
- 歯の神経が死んでしまっている
当院から患者さまへのお願い【コンポジットレジン治療について】
当院では、「患者さまの歯をできる限り銀歯の詰め物にさせたくない」という強い思いから、虫歯の早期発見・治療を心がけており、積極的にコンポジットレジン治療(CR治療)を導入しております。
コンポジットレジン治療における最大のメリットは、治療を行った部分をナチュラルな白さに見せることですが、その反面、ほかの詰め物と比べると、やや耐久性が劣るというデメリットがあります。そのため、歯医者さんによっては、コンポジットレジン治療よりも、インレーなどの技工による詰め物のほうがよい、という意見もあります。
当院では、「それでも、治療した歯を何とか白くしたい」、「銀歯は嫌だ」という患者さまのため、なるべくCRを前歯や奥歯の詰め物として使用しています。しかし、虫歯の範囲が広いと、どうしてもコンポジットレジン治療を行うことができないこともありますので、コンポジットレジン治療をご希望の方は、1度当院まで足をお運び頂き、患者さまのお口の中の状態を見せて頂いてから、コンポジットレジン治療ができるかどうかを判断させていただきたく思います。
また、CRは、長く使用し続けることで、変色したり、すり減ったりしてゆくため、定期的に歯科医院に足を運ぶ必要があります。また、患者さまのお口の環境によっては、欠けたり、外れたりすることもありますので、その場合はすぐに再治療を行うようにしてください。そのまま放置していると、虫歯の再発リスクが高くなってしまいますので、早急にコンポジットレジン治療を行っている歯科医院を受診し、再びコンポジットレジン治療を行ってもらうようにしてください。当院からの強いお願いです。
お気軽にコンポジットレジン治療に関するお悩みをご相談ください
コンポジットレジン治療は、保険が適用される審美性の高い虫歯治療として、幅広い世代の方々から注目を集めている歯科治療です。けれど、コンポジットレジン治療を行うことができる虫歯は、前歯や奥歯の表面(エナメル質)に小さな穴が開いている比較的軽度の虫歯のみに行うことができる治療となります。
自分の虫歯がコンポジットレジン治療の対象かどうか気になっている方、CR治療を試してみたいとお考えの方は、ぜひ1度当院まで足をお運びください。