歯周病とは、歯と歯茎のあいだで細菌が繁殖をはじめ、歯を支えている歯茎や骨が感染してしまうことで引き起こされる炎症性の病気です。これまで、歯周病は30代~60代にかけて起こりやすい成人病のひとつとされてきましたが、生活リズムや食生活の変化、ストレスなどによって、歯周病の低年齢化が進んでおり、いまでは花粉症や認知症と共に、国民病のひとつに数えられています。

歯周病の主な原因

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年齢や性別を問わず、私たちのお口のなかには、300~500種類もの細菌が住んでいます。
これらの細菌たちは、普段あまり悪さを働くことはないのですが、歯磨きが不十分だったり、甘いものをたくさん食べたりすると、細菌たちがネバネバ物質を作りだし、歯の表面にくっついて繁殖が始まります。これを「プラーク(歯垢)」と言います。

プラークのなかには、1mgあたり10億個もの生きた細菌たちが住んでおり、そのなかに歯周病を引き起こす特異体質の細菌がいた場合、繁殖に適したより良い環境を求めて、歯と歯茎の隙間「歯周ポケット」に入り込もうとします。

歯周病は、歯周ポケットに入り込んでしまった細菌たちが作りだすプラークによって、歯茎に炎症が起こり、やがて歯を支えている骨まで溶かしてしまう病気です。歯周病の初期段階では、痛みなどの自覚症状がほとんどないので、気付いたときには歯茎の下にある骨が溶けていたということも少なくありません。

ドクターより一言

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細菌たちが作りだすプラークが、歯周病の直接的な原因であることは間違いありません。
しかし、歯肉炎や歯周炎を含む歯周病を引き起こす間接的な原因「リスクファクター(危険因子)」は、口腔内の環境や生活習慣などにも潜んでいます。

当院では、歯周病の直接的な原因となるプラークだけではなく、間接的な原因となるリスクファクターを少なくするためのご相談や予防方法なども、患者さまの目線に立って分かりやすく丁寧にご説明させていただいております。

歯周病の進行過程と症状

歯周病は、自分では気付かないうちに少しずつ進行していく病気ですので、ある日突然、歯茎の腫れ、出血、口臭、歯のぐらつきなどの症状があらわれます。さらに症状が悪化すると、歯が抜け落ちたり、糖尿病などの全身性の疾患を増悪させる原因となったりしますので、歯周病が重症化する前に歯科医院にて検診を受けることが大切です。

①健康な状態

健康な歯ぐき
  • 歯の表面にプラークが作られていない
  • 歯茎が淡いピンク色をしている
  • 歯と歯のあいだにしっかりと歯茎が入り込んでいて、弾力がある
  • 歯茎が引き締まっている
  • 歯磨きをしても出血しない
  • 歯と歯茎のあいだに、1~2mmほどの隙間がある

②歯肉炎

歯肉炎
  • 歯の表面にプラークが溜まり、歯茎に炎症が起こる
  • 歯茎が鮮やかな赤色になっている
  • 歯と歯とのあいだの歯茎が丸みを帯びてふっくらしている
  • 歯磨きをすると出血する
  • 歯と歯茎のあいだに、2~3mmほどの隙間がある

③歯周炎

歯周炎
  • 細菌が歯周ポケットに入り込み、歯茎の炎症が悪化
  • 歯茎の色が赤紫色をしている
  • 歯と歯のあいだにある歯茎が大きく腫れている
  • 歯磨きをすると、出血や膿が出てくる
  • 歯茎が下にさがって、歯が長く見える
  • 食事をすると、歯と歯のあいだに詰まる

歯周炎には、軽度・中度・重度の3段階あります

軽度

  • 歯と歯茎のあいだに、3~5mmほどの隙間がある
  • この段階では、歯がぐらつくことはない

中度

  • 歯と歯茎のあいだに、4~6mmほどの隙間がある
  • 食事や歯磨きをすると、歯が少しぐらつく

重度

  • 歯と歯茎のあいだに、6mm以上の隙間がある
  • 歯がしっかりと歯茎に固定されておらず、かなりぐらつく

症状が悪化するにしたがって、歯と歯茎のあいだの隙間が徐々に広がっていくため、歯がぐらつきやすくなります。ただ、歯がぐらついている段階まで歯周病が進行してしまうと、治療に時間がかかるだけではなく、生活の質やお口の健康にもよくありませんので、定期的に歯科検診を受けることをおすすめします。

歯周病の治療

これまで「不治の病」とさえ言われた歯周病ですが、この十数年のあいだに歯周病の治療は急速な進歩を遂げ、いまでは歯周病の進行を食い止めることができるようになりました。

現在、歯周病の治療として一般的に行われている治療方法は「SRP」です。SRPとは、歯周病の治療における「Scaling (スケーリング)」と「Root Planing (ルートプレーニング)」2つの治療方法の総称です。この2つの治療方法は、歯周病を治療する際に一連の動作として行われることが多いため、歯科医院では2つの治療方法を合わせて「SRP」と呼ばれています。

Scaling (スケーリング)

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スケーリングとは、いわゆる「歯石取り」のことです。
歯石とは、歯に付着したプラークが石灰化したものです。歯石の表面には細かい凹凸があるため、歯周病を引き起こす原因となる細菌たちが住みつくのに最適な場所となります。

そのため、歯周病の治療を始めるときは、まずお口の中にある歯石を全て取り除き、歯周病を引き起こす厄介な細菌たちの繁殖を防ぐことがポイントとなります。

歯石には、歯茎よりも上にある歯冠部分に付着している「縁上歯石」と歯茎よりも下にある歯根部分に付着する「縁下歯石」の2種類があります。スケーリングでは、縁上歯石のみを対象とする治療方法となるため、縁下歯石を取り除くためには、ルートプレーニングを行う必要があります。

Root Planing (ルートプレーニング)

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ルートプレーニングとは、歯茎の下に埋まっている歯根部分の表面の凸凹を取り除いて、ツルツルしたキレイな平らな面に仕上げていく治療方法です。ルートプレーニングを行う目的は、

  • 歯根部分に付着したプラークの中にいる細菌を取り除き、歯を支えている骨まで感染が広がるのを防ぐこと
  • 歯根の表面にある凹凸を取り去り、滑らかに仕上げることで細菌の際感染を防ぐこと

この2つです。ルートプレーニングは、スケーリングでは取り除くことができない歯茎の下に溜まってしまった病原性が高い縁下歯石を取り除くことができるため、歯周病の進行を食い止めるためには、欠かせない治療方法のひとつとなっています。

ドクターより一言

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SRPは、歯周病の基本的な治療方法として広く行われていますが、非常に高度な技術が要求される治療方法となります。当院では、患者さまのお口の状態を診査・診断などを行い、患者さまにとって、もっとも最善の治療法をコンサルティングさせていただいております。

SRPの治療を行うにあたり、いくつか注意点もありますので、治療をご希望される患者さまの不安や心配ごとを払拭できるよう、分かりやすく丁寧な説明をさせていただき、ご納得いただいてから治療を始めるように努めています。

歯周病に関するご相談は当院まで

これまで歯周病は「不治の病」とさえ言われたため、歯周病と診断されたとき、気分が沈み込んだり、元気が無くなってしまったりする患者さまもたくさんいます。けれど、歯周病の治療は日々進歩しているため、歯周病になったからといって、気を落とすことはありません。
当院では、歯周病に関するお悩みやご相談をたくさんいただいております。歯周病による日常生活への支障でお悩みの方、予防方法などを知りたい方は、ぜひ当院までお越しください。

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